障害年金と生活保護は併給されるのか?
今日は、結構お問い合わせいただくことの多い「生活保護を受けていますが、障害年金も一緒にもらえますか?」というご質問にお答えしてまいります。
生活保護とは?
何故このような質問が多いのか? と考えますと、
おそらく市区町村窓口のご担当者の方が、生活保護を受給されている方にご案内されているのかと思います。
生活保護は、
生活に困窮している人を対象に、困窮の度合いに応じて必要な保護を行い、最低限度の生活を保障することにより、その人の自立を助長することを目的としています。 (生活保護法第1条)
ちょっと難しい表現ですけれど・・・
生活保護を受けるには、
まず「その方が利用できるあらゆるもの(資産や能力など)」をフル活用した上で、
それでも足らない・・・という場合に受けられる、とのことです。
そのため「併給出来るのか?」というと
「併給は出来ない」
「障害年金を受給しても、その分だけ生活保護費は減額される」
ことになります。
では、どちらが高額になるのか?
それでは
生活保護で受け取る額と、障害年金の額とどっちが多いの?
ということになりますが、生活保護の方が多い場合が多いです。
(「多い」の連発で分かりづらいですね・・・。)
障害年金を受け取る方が多額になるケースは、
「障害厚生年金2級以上を受給し、扶養するご家族がいる」
ような場合でしょうか。
その他、遡って障害年金を請求し、それが認められる場合、
(一時金として「生活保護を受けていなかった期間の分」が多く支払われるなど。)
もあり得ます。
そのため、障害基礎年金(初診日時点で国民年金の被保険者だった場合)の請求をする場合などは、多くのケースであまりメリットがないようにも思われます。
障害手当金が受給できるときは?
厚生年金保険法では、一時金として支給される障害手当金という制度があります。
障害手当金は、
初診日に厚生年金保険の被保険者であった方が
「初診日から5年を経過するまでの間に傷病が治った日」の時点で
その障害の程度が政令で定める障害の状態(分かりにくい話ですけど)である場合に支給されるものです。
この障害手当金も、障害年金と同様に生活保護費と調整されます。(生活保護費が減額されます。)
調整方法は、支給される金額が生活保護費のおおむね6ヶ月分を超える場合は生活保護が廃止され、おおむね6か月以内の金額の場合はその間生活保護費は支給停止されます。 (詳しくは各市区町村役場でご確認くださいませ。)
障害者加算の制度がある
ただし、生活保護には「障害者加算」の制度があります。
障害等級1級または2級の障害年金を受給する方には、生活保護費が加算されます。
金額は決して高額ではないですが(住居地によっても違いますので、各市区町村役場でご確認くださいませ。)家計にとっては大きな収入かと存じます。
今回は生活保護費と障害年金の併給について書いてみました。
お付き合いくださいまして、ありがとうございました。 (社会保険労務士 海老澤亮)