「精神の障害用」診断書をきちんと書いていただくために ~ 記載要領の確認 その1

「精神の障害用」診断書をきちんと書いていただくために ~ 記載要領の確認 その1

 このところ「精神障害」についてよく書いておりますが、本日もその話題です。
 ちょっとマニアックな話ではありますが、よろしければお付き合いくださいませ。

診断書をきちんと書いていただくために

 日本年金機構でも、障害年金の診断書を作成する医師に、診断書の書き方をきちんと理解いただいた上で作成頂こうと、年金機構のホームページでも各診断書の「記載要領」を案内しています。

  https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todoke/shindansho/sakusei.html

 (こちらがそのURLです。)

 ちょっとマニアックな話ですが、今回は

 「診断書を依頼する側も、記載要領の内容をある程度理解しておいた方がいい」

 と思いまして、項目ごとにご案内したいと思います。
 なるべく、皆様にもとっつきやすく、重要なところからご紹介してまいります。

「日常生活能力」について理解する

 「精神の障害用」の診断書で、申請される方が特に理解しておいた方がいい項目は、

 診断書の裏面にある「ウ 日常生活状況」かと存じます。

 理由としては、精神障害 等級判定ガイドラインに記載がありますように、

 裏面の項目である「2 日常生活能力の判定」欄と「3 日常生活能力の程度」欄を、

 「一つの目安」として等級を判定しているから、という事はあります。

 (つまりは等級判定に大きなウエイトを占めている、という事になります。)

 また、それらの項目は単純に考えれば、単なる数値(それぞれ4段階の判定、5段階の判定)に過ぎません。それぞれの項目で該当するものにチェック、マルを付けるだけで記載は済みます。
 重要な項目でありながら、記載はチェック・マルでOKという訳です。


 具体的に書けば、例えば「2 日常生活能力の判定」の「適切な食事」という項目ならば、

 ・ できる

 ・ 自発的にできるが時には助言や指導を必要とする

 ・ 自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる

 ・ 助言や指導をしてもできない若しくは行わない

 という4段階で、一番近いものにチェックを入れる、という方法で記入する訳です。

では「日常生活能力の判定」の具体的な項目とは?

 では、等級判定において重要な「日常生活能力の判定」の具体的な項目を見ていきましょう。と・・・そんなたいそうなことを書く訳ではなく、単に診断書に記載されている項目をまずご紹介します。

(1)適切な食事 - 配膳などの準備も含めて適当量をバランスよく摂ることがほぼできるか?

(2)身辺の清潔保持 - 洗面、洗髪、入浴等の身体の衛生保持や着替え等ができるか? 自室の清掃や片付けができるか?

(3)金銭管理と買物 ー 金銭を独力で適切に管理し、やりくりがほぼできるか? 一人で買い物が可能で、計画的な買い物がほぼできるか?

(4)通院と服薬 - 規則的に通院や服薬を行い、病状等を主治医に伝えることができるか?

(5)他人との意思伝達及び対人関係 - 他人の話を聞き、自分の意思を相手に伝え、集団的行動が行えるか?

(6)身辺の安全保持及び危機対応 - 事故等の危険から身を守る能力がある、通常と異なる事態となった時に、他人に援助を求めるなどを含めて、適正に対応することができるか?

(7)社会性 - 銀行での金銭の出し入れや公共施設等の利用が一人で可能か? 社会生活に必要な手続きが行えるか?



 この記事をお読みの勉強熱心な方でしたら、すでにこの項目についてはご存知かもしれません。
 これらの項目は、すでにお気付きのように、「ご病気の直接的な重症度」を測るものではありません。
 ご病気の影響から、「日常生活にどのような支障があるのか?」が主点であります。
 そのため、主治医先生には普段なかなか伝わっていない事柄でもあり、

 「これらの重要項目は、ひょっとしたら先生に伝わっていないかもしれない」

 という仮定の下で、障害年金の申請を進めていった方が、結果としてはよいと思います。

 なんだか、回りくどい話をしていたら、長文になってしまいました。
 結局これまでは単なる前ふりでしたが、次回はこれらの項目ごとに詳しく見ていきたいと思います。
 本日もお付き合いくださいまして、ありがとうございました。 (社会保険労務士 海老澤亮)

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