障害年金の申請で「失敗したこと」「後悔したこと」は?
今回もQ&Aです。
(最近Q&A形式が多いですが・・・。)
弊事務所で、障害年金の申請をする際に「失敗したなあ」と後悔したことはないですか? との、意地悪な? 質問を頂きましたので、お答えいたします。
よろしければ、お付き合いください。
後悔したこと
障害年金の申請をしていて「後悔したこと」について書いてみます。(当事者の方の年齢、ご病気、性別等も伏せておきます。ご了承ください。)
その障害年金の請求人の方は、身寄りのいらっしゃらない方でした。
障害年金申請のお手伝いをすることになったのは、その方が弊事務所のホームページを見て気に入って下さり、その方の友人からお電話を頂いたのがきっかけです。
遠方の病院に入院中で、ご友人から「一度話を聞いてもらえないか」とのご連絡を頂き、お伺いしました。
伺ってみますと、その方は寝たきりのご様子でした。(以後Aさんと表記します。)
当時、緩和ケアを受けられていて、ご病気への治療は行われていませんでした。寝返りを打つのも難しく、ご友人がナースコールで体位変換をお願いされていました。
私がご友人に連れられて病室に入っていきますと、Aさんは朗らかに迎えてくださいました。病状が思わしくないのは、私でも容易にわかりましたが、それでもAさんは明るくご友人に接し、私にも接してくれました。
私はそこで、細々としたお話を伺う前に、
「障害年金は申請して、認定を受けて、実際に障害年金が振り込まれるまでは、おそらく半年くらいは時間がかかると思います」
と申し上げました。
勿論、障害年金の概要を申し上げます、と前置きをしまして、それから色々とご説明する中で、上記のようなお話をしました。
失礼な話、残酷な話なのですが、私の頭の中に「このまま半年待っていられるのだろうか?」という想いが浮かんだからです。
私の概要説明を一通り聞かれたAさんは、
「分かりました。手続きをお願いします」
と言われました。そういわれますと、私も素直にご依頼を受けました。
出来るだけの事は頑張ってみよう、と思いました。
それで、その日はご友人たちと一緒に、Aさんのご病気の経過、症状等を伺いました。Aさんも嫌な顔をせずに、お付き合いくださり、結局私が病院を後にしたのは、病院についてから2時間後でした。
Aさんのその後
その日、Aさんから伺った話をもとに早速私は「受診状況等証明書」と「障害認定日頃の診断書」の作成を別の病院に依頼しました。その他、伺った話を時系列でまとめ、現在入院中の病院にも 「障害認定日頃の診断書」が出来次第、「現在の診断書」を書いてもらおうと準備していました。
Aさんにはご病気を考慮して、又先日伺った話だけでも十分準備が出来たので、 なるべく連絡しない様にしておりました。
2週間ほどが経ち、「受診状況等証明書」と「障害認定日頃の診断書」が出き上がってきました。しかし、診断書は不備が多く、訂正していただかなくては・・・と思っていた時に、Aさんのご友人からお電話がありました。
電話
電話の内容は下記の通りでした。
「実は先生(私のことですが)に来ていただいてお話をされた後、その晩からAさんは高い熱が出てしまい、熱が下がらないまま、昨日亡くなってしまいました」
障害年金の手続きをしようとして、それで色々とお話を伺い、Aさんも機嫌よくお話しいただいていたものの、無理していたのかな・・・。
希望を届けるはずの障害年金で、俺はかえってAさんの寿命を短くしてしまったんじゃないのかな・・・。
そんなことを今でもたまに思います。
先を急ぎ過ぎたために、体調をおもんばかれなかった。
多少遠いから、といって出直してくることが出来なかった。
それが私が後悔していることです。
今回はあえてネガティブな事を書いてみました。
障害年金は「時間との勝負」になる事もあります。
でも、せっかちなだけではなく、相手を思いやる想像力も必要な仕事なんだと思います。
本日もお付き合いくださいまして、ありがとうございました。(社会保険労務士 海老澤亮)