障害年金申請時の「障害認定日」って、単純だけど複雑?

障害年金申請時の「障害認定日」って、単純だけど複雑?

これまで何度か障害年金の「初診日」については書いてきましたが、今回は「障害認定日」について書いてみたいと思います。

原則として「障害認定日」は初診日の1年6カ月後の日

タイトルで「障害認定日は単純」って書いた部分は、この原則です。

障害年金を申請される場合、多くの方が

障害認定日は、初診日から起算して1年6カ月を経過した日

になると思います。

これは、社会保険の「傷病手当金」の受給期間が1年6か月間ある、ということとも何か関係があるのかな、と思っております。(詳しいことは知らないですが・・・。)

障害認定日の特例について

障害認定日の原則は上記の通りですが、例外があります。それが結構複雑です。

初診日から1年6カ月経過する前に「治った」場合は、その日

が障害認定日になる

とされております。

分かったような分からないような・・・。そんな話ですが・・・。

じゃあ、その「治った」ってどう判断するのか? 

(以下、日本年金機構のホームページ「障害認定基準」から抜粋します。)

4 障害認定日
 「障害認定日」とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、請求する傷病の初診日 から起算して1年6月を経過した日又は1年6月以内にその傷病が治った場合に おいては、その治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った 日を含む。)をいう。

5 傷病が治った場合
 「傷病が治った場合」とは、器質的欠損若しくは変形又は機能障害を残している場合 は、医学的に傷病が治ったとき、又は、その症状が安定し、長期にわたってその疾病の 固定性が認められ、医療効果が期待し得ない状態に至った場合をいう。

漢字が多くて、読みづらいですが・・・。

下記に具体例を書いてみます。

<1年6カ月を経過する前に障害認定日として取り扱うもの>

・ 咽頭全摘出の場合=全摘出した日

・ 人工骨頭または人工関節を挿入置換した場合=挿入置換日

・ 切断または離断による肢体障害=原則として切断日、離断日(障害手当金は創面治癒日)

・ 脳血管障害=初診日より6カ月経過した日以後に、医学的観点からそれ以上の機能回復がほとんど望めないと認められるとき(初診日より6カ月経過した日以後に症状固定したと認定された場合のみ)

・ 在宅酸素療法を行っている場合=在宅療法を開始した日(常時使用の場合)

・ 人工弁、心臓ペースメーカー、ICD(植え込み型除細動器)、CRT(心臓再同期医療機器)、CRT-D(除細動器機能付き心臓再同期医療機器)、人工血管(ステントグラフトを含む)=装着日、挿入置換日

・ 心臓移植、人工心臓、補助人工心臓=移植日または装着日

・ 人工透析=透析開始日から3月を経過した日、かつその日が初診日から1年6月以内の場合

・ 人工肛門造設 尿路変更術=造設日、変更術を行った日から起算して6月を経過した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)

・ 新膀胱造設=造設日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)

・ 神経系の障害で現在の医学では根本的治療方法がない疾病=今後の回復は期待できず、初診日から、6月経過した日以後において気管切開下での人工呼吸器(レスピレーター)使用、胃ろう等の恒久的な措置が行われており、日常の用を弁ずることが出来ない状態であると認められるとき

・ 遷延性植物状態=障害状態に至った日から起算して3月を経過した日以後に、医学的観点から、機能回復がほとんど望めないと認められるとき

とされています。(長かった・・・。)


例外で多いと思われるもの

上記の特例に該当するものとして比較的多いのは、

人工弁、心臓ペースメーカー等、人工血管、人工骨頭、人工関節の手術をされた場合でしょうか。ただ、これらの場合は原則としては、障害等級3級の認定ですので、障害基礎年金(初診日時点で国民年金被保険者の方が請求できるもの)ですと受給は難しい面があります。

(勿論、手術されたのみならず、予後に症状が悪化している場合は、障害基礎年金の請求が考えられます。)

脳血管疾患の場合は、取り扱いが難しいところです。

主治医先生の見解を確認した上で、「症状が固定している」との判断でしたら、1年6カ月経たなくとも請求することが考えられます。

20歳前障害の場合

初診日が20歳前ですと、「20歳に達した日」が障害認定日だ、と単純には言い切れません。

初診日より1年6カ月が経過して20歳を迎えた場合は、20歳に達した日が障害認定日ですが、1年6カ月経過していないと、そうはなりません。あくまでも1年6カ月経過した日が障害認定日となります。ご注意ください。

例えば、19歳で初めて受診したという場合は、1年6カ月後が障害認定日になったりします。

まとめ

障害認定日の考え方は、簡単なようで難しい面があります。特に診断書を書いていただく場合、障害認定日が間違っていると、診断書の書き直しになってしまいます。その点は慎重に確認して進めていただきたいと思います。

今日は長文になりました。お付き合いくださいまして、ありがとうございました。(社会保険労務士 海老澤亮)

Follow me!