障害者特例をご存知ですか?
障害者特例という制度をご存知ですか?
メリットのある制度ですが、生年月日により活用できる方が制限される制度です。
今日は、障害者特例をご案内いたします。
障害者特例とは何か?
まず最初に「障害者特例とは何か?」をご案内いたします。
これは障害年金と似たものですが、障害年金の受給要件を満たしていない方が利用できれば、メリットはあります。
障害者特例とは、
特別支給の老齢厚生年金(65歳以前にもらえる特別な老齢厚生年金。老齢基礎年金(国民年金)分は支給されない。)を受給している方が、
65歳になる前に(老齢年金の繰り上げをしていない場合のみ)
障害の状態になった場合に、
「請求により」
請求した翌月分から、報酬比例部分に加えて定額部分(通常65歳からもらえる国民年金分)が受給できる
というものです。(分かりにくくて失礼しました。)
もう少し砕けて言うと
もう少し砕けて言いますと、
通常、65歳になる前までは
厚生年金分しか老齢年金はもらえないけど、
厚生年金が受給できる年齢に達して
なおかつ障害等級3級以上に該当する場合は、
特別に「国民年金分」も支払いますよ、
というものです。
この制度は、障害等級3級だけれど、障害年金はもらえない、という方にはメリットがあります。
障害者特例の要件は?
以下の3つの要件を満たす場合は、障害者特例を請求することが出来ます。(日本年金機構のホームページより)
① 特別支給の老齢年金の受給権を有していること
② 厚生年金保険法に定める3級以上の障害状態にあること
③ 厚生年金保険被保険者資格を喪失していること
となっております。現在は「厚生年金の被保険者でない」ということが要件になっています。(会社を退職しているか、短時間勤務されている方のみOKということ。)
その他、特別支給の老齢年金を受給できる方は「生年月日の制限」があります。
下記に表で示します。
生年月日と特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢の関係
男性 | 女性 | 支給開始年齢 |
~昭和28年4月1日 | ~昭和33年4月1日 | 60歳 |
昭和28年4月2日~30年4月1日 | 昭和33年4月2日~35年4月1日 | 61歳 |
昭和30年4月2日~32年4月1日 | 昭和35年4月2日~37年4月1日 | 62歳 |
昭和32年4月2日~34年4月1日 | 昭和37年4月2日~39年4月1日 | 63歳 |
昭和34年4月2日~36年4月1日 | 昭和39年4月2日~41年4月1日 | 64歳 |
昭和36年4月2日~ | 昭和41年4月2日~ | 支給なし |
そのため、男性は昭和36年4月2日以降生まれ、女性は41年4月2日以降生まれの場合は、障害者特例は受給できません。
障害者特例の診断書は、障害年金と共通
障害者特例を申請する場合、使用する診断書は障害年金申請用のものになります。診断書には「現在の状態」を医師にご記入いただく訳ですが、注意点があります。
それは「1か月以内の状態」を書いてもらう必要がある。
ということです。
障害年金の診断書は、通常「3ヶ月以内の状態」について書いてもらうのですが、障害者特例の場合、有効期間が短くなる。
そこが一番の注意点です。
該当する方は、障害年金の申請と同時に行うことをお勧めします
実務上、私がやっていることとしては、
障害年金の申請をする際に、障害者特例に該当しそうな方は、同時に申請する
ということです。
現在特別支給の老齢厚生年金を受給していて(またはこれからする予定で)障害等級が3級になった場合、例えば障害者特例の方が有利だ、手元に残るお金が多くなる場合には、同時申請をしています。その辺りの金額の試算は年金事務所でやっていただく必要があります。
数年間、人より早く老齢基礎年金がもらえる制度、うまく活用できれば幸いです。
お付き合いくださいまして、ありがとうございました。(社会保険労務士 海老澤亮)