病歴就労状況等申立書を作成するプロのコツ その1
初めて障害年金を申請される方が、一番頭を悩ませること。
もしかすると、「病歴就労状況等申立書」を書くことかもしれません。
私自身は、これまで随分と多くの「病歴就労状況等申立書」を書いてきましたので、あんまり意識することなく書いております。
しかし、先日たまたま年金事務所で年金の申請をした際に、窓口で受理してくださった方が、申立書を読んで
「申請者の方の様子が目に浮かぶようですね」
とお世辞を言って下さり、それで気を良くしたもので、
今回は私があまり意識せずに行っていることを、あえて言語化してみようと思います。
特に、申立書をきちんと書いた方がよい方は?
この「病歴就労状況等申立書」ですが、私もご依頼いただく方によって、力を入れて書いたり、さらっと書いたり、使い分けております。
勿論、やる気がある時は力を入れ・・・などという話じゃないですが、
さらっと書く場合とは、
特に
「障害認定基準で、障害等級がほぼ決まっている場合」
です。
例えば、人工透析をされている方で比較的お元気な方は、基本的に障害等級2級になります。また、聴覚の障害など聴力検査の結果で障害等級が決まるような場合も、「病歴就労状況等申立書」はそこまで力を入れて書きません。
勿論、病歴もきちんと確認しますし、内容は何度も見直します。日本語の文章としておかしくないか、「てにおは」にも気を付け、直します。
でも、それだけでは「様子が目に浮かぶような」病歴就労状況等申立書にはならないと思います。
では、どのような方の場合に、力を入れて「病歴就労状況等申立書」を作成するか? というと、特に「精神の障害」で年金申請をされる方の場合が多いです。
なぜか?
「精神の障害用」の診断書は、客観的な数値等はあまり記入されません。
とはいえ、知的障害、てんかん等の場合は、IQやてんかん発作の強度、頻度等記入されます。
しかし、それ以外の例えば、うつ病、双極性障害、統合失調症の場合などは、客観的な数値は書かれません。
勿論、診断書裏面の「日常生活能力」欄については、厚生労働省の「精神障害ガイドライン」という数年前にできた基準により、ある程度数値化されます。
しかし、それも客観的なものではなく、あくまでも「診断書を作成された医師の判断」に過ぎません。つまり客観ではなく主観によるものです。
そのため、「精神の障害用」の診断書は、作成する医師により、残念ながら内容に差が出る書類である、と言えます。
そのような有利不利の存在する診断書とは別に、申請される方の状態をきちんと書き記し、認定される方にも伝わるような申立書を作る。
それは、お金をいただいて仕事をしているものとして、最低限責任と思い、
特に、精神障害で年金申請をされる方の「病歴就労状況等申立書」は読む人に様子が伝わるものを作成するように心がけています。
次回からは、精神障害で申立書を作成する上でのコツを考えていきたいと思います。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
お読みいただきまして、ありがとうございました。
(社会保険労務士 海老澤亮)