年末調整の時期が近づいてきましたが、障害年金の扱いは?
年末調整の時期が近づいてきました。
今回は、年末調整では障害年金はどんな取り扱いになるのか? 考えてみます。
障害年金は、年末調整では「所得」にはならない
年末調整というのは、大雑把に言いますと、
正社員やパートタイマーなどで給与所得を得ている方(サラリーマン)の雇用主(会社)が、
1年間の所得・所得税の計算を代わりにしてくれるものです。
1年間の収入と税額控除などを計算して、その方の「所得」を出し、それをもとに1年間の所得税額を計算します。
そして、給与から天引きされ、あらかじめ納めていた所得税(源泉所得税)の金額と正式な所得税額を比較して、納めすぎていた場合は所得税が還付され、足りなければ追加で徴収されます。(年末調整でお金がごそっともらえたりするのは、そのためです。)
そのため、サラリーマンの方は、自分で所得税の確定申告をしなくても済みます。(「原則」として、給与以外に収入がなければ。)
でも、給料以外に収入があれば、サラリーマンの方であっても、原則として所得税の確定申告をしなくてはなりません。
が。
障害年金を受給されていたとしても、それは所得税の計算上は「所得」にはなりません。(老齢年金の場合は、そうはいきませんが・・・。)
そのため、障害年金を受給されていても、所得税を追加で徴収されることもないですし、税務署で確定申告をする必要もないですし、働いている会社に「実は障害年金をもらっています」という必要も、ありません。
ただし、社会保険の扶養に入る際は、注意が必要
障害年金は、年末調整では所得計算されませんので、全く問題ありません。そして、ご家族の「所得税上の扶養に入る」際も、障害年金をもらっていても、それは所得とみなされませんので、税金の計算上は有利になります。
しかし、ご家族の「社会保険の扶養に入る」際には注意が必要です。
障害年金をもらっている場合は(そのほか、失業保険をもらっている場合、健康保険の傷病手当金をもらっている場合なども)、「社会保険の扶養には入れるかどうか?」判断する際には、障害年金も収入とみなされます。
例えば、60歳未満の方で同居している夫の「社会保険の扶養に入りたい」とします。
(社会保険の扶養には入れれば、ご自分で国民健康保険に加入する必要もないし、国民年金を納める必要もないので、金銭的な負担はぐんと減ります。)
その際の基準としては「収入が年間130万円未満(1カ月の収入が108,333円まで。)」で、なおかつ「被保険者(この場合は夫)の収入に2分の1まで」である必要があります。
しかし、ここでいう収入には障害年金も含まれますので、その点はご注意ください。
今回は以上となります。お付き合いくださいまして、ありがとうございました。(社会保険労務士 海老澤亮)