障害年金を遡って申請するなら、「額改定請求書」も提出する。
こんにちは。
茨城県桜川市の社労士 海老澤亮です。
本日もよろしくお願いします。
今回は、障害年金申請時の提出書類について、細かいことを書いてみます。
「額改定請求書」について。
こちらの用紙は、年金事務所の窓口で年金を申請する際に、「提出してください」といわれることはほとんどないと思います。それに、提出しなくても、実際にデメリットが発生する可能性は低いと思います。でも、私自身は後で心配したくないから、遡って障害年金を申請する際には、必ず提出しようと思っています。(書類自体は1枚ぽっきりのもので、書くのも大変ではないので・・・。)どんな意味がある書類か、ちょっと書いてみます。
「額改定請求書」は「障害の程度が重くなった」と思ったときに提出する書類
「額改定請求書」は、「障害の程度が重くなった」と感じたときに、診断書と一緒に提出して、従前の障害等級を引き上げてもらう(例えば:障害等級3級⇒2級というように。)書類です。弊事務所でも、頻度は低いですが、取り扱っている業務です。(やっぱり多いのが初回の申請業務で、次に多いのが更新、その次が不服申立です。)
私も通常の「額改定請求」をするためではなく、あくまでも「遡っての年金請求」(難しく言えば、遡及請求)の際に「保険として」提出しています。
理由 = 額改定請求書を提出しないと、「申請時の障害等級について不服申し立てができない」
その理由は見出しの通りで「額改定請求書を提出しないと、「申請時の障害等級について不服申し立てができない」からです。詳しく書きますと、例えば、遡って年金の請求をするとします。
(例として)
初診日= 平成28年1月1日
障害認定日= 平成29年7月1日(原則として、「初診日の1年6カ月後の日」を障害認定日といいます。)
年金請求をした日= 令和3年8月31日
想定している障害等級= 障害認定日 3級 現在(令和3年8月現在) 2級
とします。
しかし、実際の認定では「障害認定日 3級 現在も3級」だったとしますと、
「現在は2級だと思っていたのに、納得いかない。不服申し立てをする!」と思っても、
年金請求時に「額改定請求書」を提出していないと、不服申し立てができない、のです。
昔は違った
昔は、上記のようなことはなかったのです。
昔は、額改定請求書を出していなくても、不服申し立てができました。しかし、何年前だったか忘れましたが、今は「額改定請求書」を提出していないと、遡っての申請の場合は、「現在の障害等級」について異議申し立てができない、という扱いになっています。
でも、昔は「額改定請求書」を提出するのは、難しい面がありました。何が大変かといいますと、診断書の現症日(いつの時点での状態を書いたかを示す日付)が、1カ月以内のものでないと受け付けてもらえませんでした。(例として:令和3年8月31日に提出するなら、令和3年8月1日以降に現症日がある診断書じゃないと不可。)
しかし、この扱いが2年前(令和元年8月)から変わりまして、「1カ月以内⇒3カ月以内でOK」となったのです。3カ月というのは、通常の年金請求で求められる期限と一緒ですので、難しいことを考えずに「額改定請求書」を出せるようになりました。
私の体験
私の体験では、「請求日時点での障害等級」を不当に低く認定されたことはありません。そのため、「額改定請求書」が必ず必要とは言いません。でも、「万が一」を考えますと、やっぱり一緒に提出した方が安心ですね。備えあれば患いなし、で。
そんなお話でした。お付き合いくださいまして、ありがとうございました。
(社会保険労務士 海老澤亮)