障害年金の請求を始める前に、しておきたいこと 前編
病気になった! ⇒ すぐ障害年金の申請、ではない
今日は「障害年金の請求を始める前に、しておきたいこと」について書いてみます。
障害年金は、病気や障害で働けない方の生活費の補償として支給されている、と考えられています。そのため、例えば病気になって働けなくなってしまった、すぐに障害年金の申請をしなければ、と考えられるかもしれません。しかし、その前にちょっとお待ちを。
病気になった→まずは障害年金の申請
というのは、ちょっと早計です。
特に、健康保険の被保険者になっている方は・・・。(国民健康保険ではありません。)
サラリーマンには手厚い補償(それが社会保険)
通常、サラリーマンの方は(とりあえず、公務員の方は除きます。)
健康保険
厚生年金保険
という2つの保険に加入して、被保険者になっています。
それに対して、自営業者の方、短時間のアルバイトの方などは、
国民健康保険
国民年金
という2つの保険に加入しています。
障害年金の前に申請すべきものは?
この「健康保険」に加入されている方。
健康保険には「傷病手当金」という制度があります。
これは、病気のために働くことが難しい状態の被保険者に、大雑把な話として(最近法改正もあり、ザックリとした話です。)お給料の約3分の2が健康保険から支給される、という制度です。
この傷病手当金は、受給開始から最長で1年6カ月間もらえます。
金額としては、
通常は 傷病手当金 > 障害年金
となります。
でも、傷病手当金と障害年金は、一緒にもらうことはできません。
傷病手当金をもらいながら、障害年金ももらえるようになると、大雑把に言って、障害年金分、傷病手当金の金額が減らされます。そのため、まずは傷病手当金を申請して、傷病手当金が切れる前に(1年6カ月経つ前に)障害年金の申請をするのが、手続きとしてはスムーズです。
障害年金はいつから受給するか?
障害年金では「障害認定日」というものがあります。
病気、障害のため初めて医療機関を受診した日「初診日」から、原則として(例外もあります。)1年6カ月経った日が、障害認定日とされています。そして障害年金は、この「障害認定日」の翌月からしか受給できません。
これは、例えば、突然病気を発症し、仕事が出来なくなったサラリーマンは、まず1年6カ月間は、健康保険の傷病手当金を受給。その後は障害厚生年金を受給する、というように制度が出来ているためです。
話がだいぶ長くなってしまいました・・・。
障害年金の申請をお考えの方でも、傷病手当金を受給していなければ、まずはそちらをご申請された方がいいと思います。(あくまでも、健康保険の被保険者の方に限ります。退職されている方に関しては、細かな要件に該当すれば、受給できます。)
国民年金の被保険者(私もそうですが・・・。)は、傷病手当金の制度がないので、病気で働けなくなっても、ある程度の蓄えや生命保険などの保証がないと、生活に困ってしまいます。なかなかシビアなシステムではあります。
長文になったので、次回に続けます。
本日もお付き合いくださいまして、ありがとうございました。 (社会保険労務士 海老澤亮)