初診日は悩ましい!
初診日の判断は、意外に難しい場合がある
私が障害年金の仕事をしていて一番悩むのは、もしかすると
初診日をいつにするべきか?
ということかもしれません。
そんな訳? で、初診日がいつか? は難しいテーマであります。
何故初診日が難しいか? といいますと、Aという病気で障害年金の請求をしたい、という場合にそのAの病気の前にBの病気があったとします。
ここで
「AとBには相当因果関係がある」
と判定されますと、
障害年金でいうところの初診日は、
Aの病気で初めて医療機関を受診した日
ではなく、それよりも前の
Bの病気で初めて医療機関を受診した日
ということになります。
では、AとBに相当因果関係があるかどうか? をどうやって判断するの? というのが難しい話なんです。
相当因果関係の例示
障害給付の手引きでは、一部例示されているものがありまして
(1) 相当因果関係ありと取り扱うことが多いもの
①糖尿病と糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症、
糖尿病性壊疽(糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉鎖症)
②糸球体腎炎(ネフローゼを含む)、多発性のう胞腎、
慢性腎炎に罹患し、その後に慢性腎不全になったもの
③肝炎と肝硬変
④結核とその化学療法による副作用としての聴覚障害
⑤手術等による輸血による肝炎
⑥ステロイドの投薬とその副作用で生じたことが明らかな大腿骨頭無腐性壊死
⑦事故又は脳血管疾患による精神障害
⑧肺疾患に罹患し手術を行い、その後生じた呼吸不全
⑨転移性悪性新生物は、原発とされるものと組織上一致するか否か、
転移であることを確認できた場合
(2) 相当因果関係なしと取り扱われることが多いもの
①高血圧と脳出血又は脳梗塞
②糖尿病と脳出血、脳梗塞
③近視と黄斑部変性、網膜剥離又は視神経萎縮
などとされております。
でも残念ながら、これだけでは分からないものが多い。
(ご病気は多岐にわたりますから・・・。)
しかし、例示だけではわからない! その場合は・・・
そこで。
申請に当たって重要なのは、主治医先生の見解です。
もし複数の病気を併発されていて、そのAという病気とBという病気に関連性があるのか、分からなければ、まずは主治医先生にご見解を聞かれた方がいいでしょう。
そのうえで、ご自分でもご病気について調べてみる。と言っても、文献が手元にある訳でもないので、難しいかもしれません。インターネットで検索して、ご病気の特徴、症状などについて素人向けに書かれたものを読んでみてはいかがでしょうか?
ご病気自体を調べていくと、少しずつ病気の性質が分かってきたりします。障害年金の申請には、ご病気の理解は重要です。私も、分かったつもりにならないで、 障害年金の手続きをする際は、ご病気をまずネットで調べます。
(実際のご依頼は難病も多いので、全く知らなかったりしますが。)
不服申し立てする際などは、より詳しい病気の理解が必要ですので、その後病気について書かれた本を買って読みます。まあ・・・一般の方には、そこまでお勧めするのは酷かと思いますが・・・。
書類も確認してみる
相当因果関係の話では、医師の見解を聞くほかに、受診状況等証明書や診断書の「傷病の原因又は誘因」「経過」「既存障害」「既往症」などを確認します。
それでも、判断が難しい時は基本的にはご依頼者の方にとって望ましいものは? を考えて、判断、手続きしております。この辺りは、経験をもとに「より自然な日」を初診日にしています。
もし審査の途中で、「この日は初診日ではない」と、年金機構が判断されても、それで年金の請求が出来なくなる訳でもないので、(訂正もできますし)相当因果関係などは、あんまり神経質になりすぎずに申請しております。
まあ・・・実際に初診日でもめることは、あんまりないですけどね・・・。
先述の「障害給付の手引き」の例示も100%この通り運用される訳ではなく、初診日が変更になることもあります。でも病気が併発されている場合などは、専門家に依頼した方が結果的には良いと思います。
今日はそんな話でした。
本日もお付き合いくださいまして、ありがとうございました。 (社会保険労務士 海老澤亮)